歯科コラム
インビザラインは痛い?その原因と対処法を解説
インビザラインは、マウスピースを定期的に交換することで少しずつ歯を移動させる矯正法です。一般的には、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないと言われていますが、インターネットやSNS上では「痛い」という声もあります。本記事では、インビザラインで歯が痛む原因や対処法について解説します。インビザラインを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
インビザラインとはどういうもの?
インビザラインとは、アメリカの「アライン・テクノロジー社」が開発したマウスピース型矯正装置です。厚さ0.5mm程度の透明なマウスピースを装着し、約1週間~10日ごとに新しいものに交換して歯を動かしていきます。
インビザラインのメリットは、金属の装置を使用しないため目立ちにくく、食事や歯磨きの際に取り外しができることです。また、ワイヤー矯正ほどではありませんが、さまざまな症例に対応しています。
インビザラインの治療では、まず口腔内スキャナーを使用して歯型をスキャンします。スキャンしたデータはコンピューター上でデジタル画像化され、歯並びが整うまでのシミュレーションを確認することが可能です。治療を始める前に仕上がりのイメージを把握できるので、安心して治療に臨めます。
インビザラインで歯が痛くなる?
インビザラインは、以下のような場面で痛みが生じる可能性があります。
マウスピースを装着したとき
マウスピースを装着すると、歯に力が加わり歯が動き始めます。その際、歯を支えている骨と歯の根っこにある歯根膜(しこんまく)が圧迫されて、血行障害や炎症が起きます。その結果、鈍い痛みが引き起こされるのです。
特に初回や久しぶりにマウスピースを装着したときは、歯に強い矯正力がかかるため、痛みが伴いやすい傾向にあります。
マウスピースの縁があたっているとき
マウスピースの縁が歯ぐきや舌、頬の粘膜にあたると、擦れて痛みを伴うことがあります。この場合、マウスピースの研磨処理が不十分だったり、破損や変形していたりすることが考えられます。
マウスピースが浮いているとき
マウスピースが正しい方法で装着されず浮いた状態になると、本来動かす必要のない歯に矯正力がかかり、痛みが生じることがあります。浮きが大きくなると計画通りに進まず、マウスピースの作り直しが必要になることがあります。装着する際は、補助道具であるチューイーをしっかり噛んで密着させることが重要です。
アンカースクリューを埋入したとき
インビザライン矯正では、歯を動かすために「アンカースクリュー」と呼ばれる装置を使用することがあります。これはチタン製の小さなネジで歯ぐきに埋め込まれ、そこを固定源として矯正力をかけていく補助装置です。歯ぐきに埋め込まれるため、処置後は一時的に痛みを感じることがあります。
アタッチメントをつけたとき
アタッチメントとは、歯を目的の方向に移動させるための補助装置です。歯の表面にレジン製の突起物を取り付けます。アタッチメントが頬粘膜や唇にあたると、擦れて痛みが生じることがあります。また、アタッチメントを取り付けるとマウスピースの密着度が高まり、矯正力が増すため痛みを伴うことも。
IPRを行ったとき
インビザライン矯正では、歯を並べるスペースが不足している場合、「IPR」と呼ばれる処置を行うことがあります。IPRは、歯の両側面0.2~0.5mmほどの範囲をヤスリで削り、スペースを確保する処置です。歯の表面である「エナメル質」をわずかに削るため、歯の健康には影響ありません。ただし、処置後は知覚過敏の症状が出ることがあります。
痛みが出たときはどうすればいい?
インビザラインで痛みが出た場合、以下の対処法があります。
鎮痛剤を服用する
矯正力によって生じる歯の痛みには、鎮痛剤が有効です。歯科医院で処方してもらうことも可能ですが、市販の鎮痛剤でも構いません。その際は、用法・用量を必ず守るようにしましょう。今まで感じたことのない痛みを覚えるため不安になりがちですが、痛みは通常2~3日程度でおさまるため、過度に心配する必要はありません。痛みがある場合は、やわらかい食事を摂るようにしましょう。
マウスピースの調整
マウスピースの装着に問題がなく、縁があたって歯ぐきや舌が擦れ痛みが生じている場合は、マウスピースの調整でやわらげることができます。自分で縁を削ったりハサミでカットしたりすることもできますが、変形させてしまうと矯正力が低下する可能性があるため、歯科医師に相談することをおすすめします。
歯科医師に相談する
痛みが強い場合や1週間以上続く場合は、マウスピースに問題が生じている可能性があります。速やかに歯科医師に相談することをおすすめします。
まとめ
痛みの感じ方には個人差があるため、どのくらい痛いとは一概には言えませんが、インビザラインでは歯が動くときや、マウスピースがあたることによって痛みが生じることがあります。対処法としては、鎮痛剤の服用やマウスピースの調整などがあります。ただし、痛みが1週間以上続いたり、「いつもと違う」と感じたりした場合は、そのままにせず歯科医師に相談しましょう。